石器文化研究会:第210回例会報告

日時:2006年3月4日(土)10時〜17時
会場:明治大学付属校用地遺跡
出席者:30人
実演:Stephan Kikala, Emily Kikala
講演:鈴木忠司
内容:

 3月の例会は明治大学付属校用地遺跡で無事?行われました。
 心配された雨も当日の朝にはあがり、石蒸し料理実演の観察ができました。

 山梨から保坂さん、長野から堤さん、静岡から笹原さんと、遠方からの参加が目立ったほか、鈴木忠司さんほかの礫群調理実験グループや、高橋龍三郎さんほかの早稲田大学ニューギニア研究会の参加もあり(キカラ夫妻のお嬢ちゃんの参加もあり)にぎやかな例会となりました。

 さて、肝心の石蒸料理ですが、
  直径1m深さ30cm位の土坑を掘削し、
  土坑の上に2本の1m以上の長い丸木を渡し、
  丸木の上にやや短い丸木を並べ、
  その上に拳大よりやや大きな礫を並べ
  下から枝等を燃やして、
 礫を熱するところから開始されました。

 長い丸木の上に並べた短い薪木が燃え落ちたところで、
  半分くらい礫等を掻きだし、
  アルミホイル・バナナの葉・キャベツの葉に包まれた食材を入れて、
  上に掻きだした礫を載せてじっくりローストする、
という手筈だったのですが、薪予定の木が生乾きであり前日までの雨のせいもあってか、礫加熱の時点で難渋。
 ここで活躍されたのは鈴木忠司先生で、ニューギニア人のキカラさんも "You are Good Fire Maker" と感心していました。

 実際の石蒸料理については、食材が十分に調理される前に焼礫の熱が下がってしまい、再加熱した礫を食材の上に載せ直して調理しました。
 10時過ぎに開始して食べられたのは2時過ぎ。それでも生のチキンとサツマイモは、後ほど電子レンジでチンして頂きました。
 調理的には失敗だったのですが、できあがった料理については、ニューギニア現地で食べるムームーよりおいしいというのが、笹原さんと加藤の共通の感想でした。
 ニューギニアで食べた成功した?ムームーは、熱せられた蒸気でべちゃべちゃで、あまりおいしいものとは思えなかったのですが、今回の料理はべちゃべちゃではなくおいしかったと思います。

 キカラさんによると、失敗は、石がよくなかった、薪が十分乾いていなかった、風が強かった、等の理由であるとのことですが、なによりも、熱帯ニューギニアと冬の日本の環境の差があるところで、同じことをやっても同じ結果はでない、というしごくあたりまえの結論が出たと思います。

 その後の鈴木先生の講演とも関連しますが、磐田原や南関東では出土する礫群の礫は割れていることが多く、その接合や使用頻度等が問題にないます。
 今回も1回加熱した礫は割れが少なかったのですが、再加熱した礫は割れまくっていました。
 ところが群馬の小菅さんの礫群実験では、何回焼いても礫が割れることはほとんどないそうです。これは群馬で使われる礫群の石が、安山岩系のものが多いことと関わるようです。
 安山岩など加熱に強く割れにくい石を使った礫加熱・石蒸しと、南関東や・磐田原の割れやすい石を使った礫加熱・石蒸しとは、薪の量や炊き方・礫の量などやり方がそもそも異なるのではないかということです。
 キカラさんもショップで売っている加熱用の石(strong stone )を使えば大丈夫だったと語っていましたが、そういう保熱効果が高い石を使った礫加熱・石蒸しと、実際に今回うまくいかなかった保熱効果が低い?(未確認)砂岩等の石を使った礫加熱・石蒸しとは、技術・技法的・地域的に、誤解を恐れずに言えば文化的に、それぞれ異なった特徴をもつと言えるのかもしれません。

 何はともあれ参加したみなさん、本当にお疲れ様でした。 (加藤勝仁)


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