石器文化研究会:第209回例会報告

日時:2006年2月25日(土)15時〜18時
会場:神奈川県社会福祉会館
出席者:17人
発表者:飯田茂雄
内容:

 2月の例会は案内のとおり『黒耀石原産地と東内野型尖頭器』というテーマで飯田茂雄さんに発表していただきました。

 まず、渋川遺跡第二地点出土の黒耀石製左右非対称形槍先形尖頭器の学史的な位置づけが整理され、鷹山遺跡群の調査成果から同じ原産地でも地点によって原石の入手、遺跡の展開に差異が見られる点が指摘されました。その上で渋川遺跡と同様の左右非対称形槍先形尖頭器を出土した鷹山遺跡群星糞峠第123号採掘址3c層上部ブロック石器群での尖頭器製作のあり方、関東地方の広い範囲で見られる黒耀石製東内野型尖頭器石器群(今井三騎堂、御正作、香山新田中横堀、竹橋門、吉岡D区など)での製作のあり方が比較され、当該石器群の特徴がまとめられました。
 当該石器群での槍先形尖頭器の製作において、素材や製作は多様であり、樋状剥離も調整技術の一つと考えられること。黒耀石の原産地と関東地方各地の石器群では製作に段階的な差異が見られるが、尖頭器素材の入手は原産地、中でも地点的にかなり限られた場所で行われ、他の場所での原料の補給はほとんど行わないこと。これらの石器群のあり方から黒耀石製左右非対称形槍先形尖頭器を東内野型尖頭器として捉え直すことができるのではないか、と提起されました。

 討論では主に二つの点を取り上げました。一つは黒耀石製非対称形槍先形尖頭器と東内野型尖頭器の問題。硬質頁岩を素材とする下総台地資料については発表の中ではほとんど触れられていませんでしたので、その辺りの補足も含めて話題となりました。また、樋状剥離ということで、男女倉型尖頭器との関係についても話題になりました。
 もう一つは原産地遺跡の問題。鷹山遺跡群の調査成果からも明らかなように、現在の産地同定レベルで同じ原産地でも実際に石材を採取した地点まで考慮することで新たに見える問題があるという指摘について取り上げました。しかし、こうしたレベルでの原産地での調査例が少ない現状から、討論ではこの話題よりもやはり原産地の遺跡と原産地外での遺跡の関係性の問題の方に焦点が移ってしまいました。
 討論の中で、東内野型尖頭器石器群についての発表者の考え方がより明確になっていき、時間的、空間的な範囲などかなり具体的な点まで提示していただき興味深いものとなったと思います。

 発表者の飯田さん、ご意見いただいた方々、どうもありがとうございました。その後、自己紹介、連絡があり、2月例会は終了となりました。懇親会は残念ながら私は出席できませんでした。久しぶりの横浜でさぞ盛り上がったことと思うのですが…。

 3月例会はもう明日(3月4日)ですね。皆さんてるてる坊主と野菜の皮をむくピーラーを忘れずに。 (美保)


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