石器文化研究会:第204回例会報告

日時:2005年7月23日(土曜日)
会場:江東区東大島文化センター
出席者:18人
内容:

 シンポジウムを踏まえた小討論会ということで、個別発表討論の二部構成で行いました。途中大きな地震もあり、やや緊張する場面もありました。

 個別発表の部では、まず、九州より参加していただいた松本茂さんに、九州地方の「ナイフ形石器文化」終末期についてその様相や問題点を発表していただきました。九州の当該期の資料においても、その中には石器製作・運用の体系を異にする多様な石器群が包括されており、それが石材環境、及び周辺地域の様相と密接に関係していることが示されました。

 続く、ナイフ形石器、尖頭器、遺跡の各プロジェクトの発表では、各々の視点を示していただきました。「ナイフ形石器」の吉田政行さんは、相模野台地の資料を分析し、従来のナイフ形石器の類別では捉えられない多様性を追求しています。加藤勝仁さんは、学史をまとめ、石材などを介した他地域との関連、また相模野台地の地域性を浮きぼりにしています。「尖頭器」の鈴木美保さんは「動作連鎖」の視点から、当該期を槍先形石器群の展開の過程と捉え、その展開の変異が地域間の石器群の変異を表しているとしています。「遺跡」の野口淳さんは、石器・石器群・遺跡の形成を同時並列に進行する過程と捉える中、武蔵野台地の資料を行動論的に分析し、相模野台地との相違点も導き出しています。

 こういった、多様な視点を受け、討論では愛鷹箱根の笹原芳郎さん、長野の谷和隆さんにも参加していただき、ナイフ形石器主体石器群から尖頭器主体石器群へ変遷を (1)打面残置や小形、幾何学形といわれるナイフ形石器のあり方について (2)立地を含めた尖頭器の製作遺跡について (3)信州系の黒曜石、伊豆箱根系の黒曜石など石材利用について などを議論しました。その中で従来相模野台地の編年観を中心に考えられてきた「ナイフ形石器終末期」の様相に再考を促すことを目的としましたが、参加者からは、学史の検討を踏まえた視点の整理や、議論の前提の明示や用語の統一、さらに議論の目的の明確化などが求められました。

 これからシンポジウムまで約2ヶ月、今回の小討論会を受け、当日はより有意義な討論を進められるようにしたいと思います。会員の皆さんのいっそうのご協力お願いいたします。


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